栄養士のための食品学実験

栄養学科「食品学実験」の授業の記録です

第6回 ほうれん草の脂溶性色素の分離

食品の色は食事を楽しくし、また食欲をおこさせる重要な因子のひとつである。

今回はカラムクロマトグラフィーを使って緑葉野菜の色素の分離を行った。

カラムクロマトグラフィーは、カラムに種々の吸着剤をつめて適当な溶媒で展開すると、成分の吸着剤に対する吸着力や溶媒に対する溶解度の違いにより、混合していた成分が分離されてくるものである。

 

●結果

カロテンは極性が高い(有機溶媒に溶けやすい)ので大きく動く。カロテンはビタミンAであり、このことからビタミンAが脂溶性ビタミンであることがわかる。(一番下の部分)
ゆがいた葉ではクロロフィルの色が薄くなり、フェオフィチンが生成されているのがわかる。(上部の灰褐色)

●考察
クロロフィルマグネシウムが脱落するとフェオフィチンが発生するので、
調理の場面で塩(塩化ナトリウム)を入れるのは、ナトリウムがクロロフィルに作用し、フェオフィチンが発生しないようにするためである。

また、カロテンは生も加熱も同様に分離される。これはカロテンが熱に強いことを示している(←国家試験のなかでほうれん草の栄養成分についての最頻出要素)

(写真は加熱したほうれん草の色素を分離したもの)

 

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