栄養士のための食品学実験

栄養学科「食品学実験」の授業の記録です

第5回 酵素による食品の褐変反応

りんごを切ってそのままにしておくて褐変します。
これはりんごのなかの酵素によるもので、桃やバナナが褐変するのも同様です。
これはりんご中のポリフェノールポリフェノールオキシダーゼによって酸化された結果生成する物質が褐色のため褐変するのです。

ではどのようにしたら褐変しないでしょうか?

●内容
今回はりんごをすりおろして果汁をとり次のような条件で実験を行いました。
A 室温30分放置

B 沸騰浴で40分加熱後、氷水で急速冷却し30分放置 

C 果汁のみ D 果汁に食塩水添加 E 果汁にL-アスコルビン酸添加
これらCDEを37℃のウォーターバスにつけ、開始時から10分おきに30分後まで観察


●結果

A 褐変した(褐変防止をしていないので当然)

B 最初に沸騰浴で加熱することにより酵素は失活。また万一、酵素が全て失活していなくても、最適温度帯(37℃前後)より低い温度帯を維持しており、酵素反応が起きない

C 褐変した

D 食塩の塩化物イオンがポリフェノールの構造を変化させるため、酵素としての作用をしなくなり褐変しなかった

E ポリフェノールより先にアスコルビン酸が酸化されたため、ポリフェノールが酸化される工程で生成されるキノンを還元するため褐変しなかった。

●学習のポイント
酵素の性質
実際の調理ではどのように活かしたらいいか