栄養士のための食品学実験

栄養学科「食品学実験」の授業の記録です

食品学実験(14)(15)未知試料の分析

●内容

今まで学んだ知識をもとに、与えられた試料が何かを分析する。

試料 A・B・Cそれぞれには、

炭水化物(でんぷん)、糖(グルコース、スクロース、ラクトース、アラビノース)、たんぱく質(ゼラチン)、アミノ酸(グリシン、プロリン)のどれか1種類の水溶液です。

試料 X・Yそれぞれには、次の組み合わせのうちのどれが1種類の水溶液です。
糖+アミノ酸、糖+タンパク質、炭水化物+アミノ酸 炭水化物+たんぱく質
(使用されている糖・アミノ酸はA・B・Cに同じ)

 

今まで学習した実験方法を使いA・B・C・X・Yの試料が何であるか分析する。

ただし、論理的科学的な道筋をもって行うこと

(つまり、全部の反応を行えばそれぞれの試料が何かわかるが、それは論理的でも科学的でもないので注意すること)

 

実験終了後、各班でどのように結果を導き出したかを発表

 

●ポイント

分析に使用した反応が何が反応して何が反応しないのか、理解しておくこと。
特に糖は糖の性質や構造と深く関係している。

 

食品学実験(13)牛乳からの栄養素の分離 糖の定性反応

●実験目的

牛乳から栄養素を分離し、その性質を知る。その過程において、糖の定性反応を通じて、構造の違いをも学ぶ。

●実験内容

カゼインを析出させた後のろ液を精製し、乳糖溶液とした。

この乳糖溶液並びにグルコース溶液、ラクトース溶液、スクロース溶液、アラビノース溶液を用い、糖の定性反応を行った。

●レポート作成のポイント

糖に関するそれぞれの言葉の意味を理解したうえで、どのような構造の違いから反応の有無ができるのかを調べて考察すること

・モーリッシュ反応

糖ならびに炭水化物の検出に利用される

・フェーリング反応

還元糖の検出に利用される

・バーフォード反応

単糖類の検出に利用される

・ビアル反応

アルドペントースの検出に利用される

 

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(写真は青みがかっていますが実際はもっと緑色が強く呈色します)

食品学実験(12)牛乳からの栄養素の分離とたんぱく質・アミノ酸の定性反応

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●実験目的

牛乳から栄養素を分離し、その性質を知る。その過程において、タンパク質・アミノ酸の定性反応を通じて、構造の違いをも学ぶ。

●実験内容

牛乳を遠心分離したのち、5%酢酸でpH4.5~4.6にしてカゼインを析出させ、析出したカゼイン及びアミノ酸溶液の定性反応を行った。

●レポート作成のポイント

・ビウレット反応

タンパク質やペプチド結合をもつものは紫色を呈する。

・ニンヒドリン反応

遊離のアミノ基と反応し、紫系の色を呈する。アミノ酸の種類によっては色調が異なる。

(↑ ここをしっかり調べて書くこと)

 

 

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食品学実験(11)食品中のビタミンC インドフェノール滴定法

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●実験目的

インドフェノール法によるビタミンCの定量方法を学習する。

 

●実験内容

大根を

1.すりおろし直後

2.すりおろし後24時間経過

3.大根に人参を加えたもの

4.大根を加熱したものとその煮汁

以上4種類の条件でそれぞれのビタミンCを定量した。

なお、1はすべての班で行ったが、2・3・4については、実験器具の都合上、各班それぞれ1つを担当し実験を行った。

 

●レポート作成のポイント

レポートはビタミンCの性質や上記の条件でビタミンC量が変化した理由を考察しましょう。

同じ条件でも班によって数値の違いは出ていますが、傾向はつかみましょう。

そのうえで、大根を使った料理で効率よくビタミンCを摂取するにはどのような献立にしたらいいかを考えましょう。

100gあたりのビタミンCの量は確かにすりおろし直後は多いですが、実際問題として大根おろしとしてたくさんの量が食べられますか?そういった現実問題も直視して考えましょう。

みんなの想像豊かな提案を楽しみにしています☆

 

追記:

みんなの想像豊かな提案ありがとう。

ただしここで一つだけ気を付けないといけないことがあります。

献立を考えるときに、「実験結果から」といいました。

ということは、調理工程の違いについて考えて提案するのはOKですが、原料の部位の違い、皮の部分がいいとか葉も使うべきというのは、「実験結果から」に基づいていません。

与えられた条件をよく理解して書くというのは、内容の良し悪し以前に重要なことです。今後気を付けましょう。

 

食品学実験(10)食品の塩分 硝酸銀滴定法(モール法)

●実験目的

食品中の塩分はナトリウム量を測定し食塩相当量を求めますが、食塩量を求める簡便な方法として塩化物イオンから求める方法と操作を覚える。さらにナトリウム量から求めるのと差異があるのか、また差異があるとしたらそれはなぜなのかを学ぶ。

●実験内容

試料:みそ、濃口しょうゆ、うす口しょうゆ、スポーツ飲料
これらの試料を調整し、硝酸銀溶液で滴定し、試料100gあたりの塩分を求めた。

●レポート作成のポイント
実験では、塩化物イオンから食塩量を求めました。これとナトリウム量から求めた場合と差異があったかなかったのか、あったとしたならばそれはなぜかについて考えましょう。
また、なぜナトリウムから食塩を求めているかについては、ナトリウムが体内でどのような動きをしているのか、どのような影響があるのかもあわせて考えましょう。

食品学実験(9)りんごの褐変反応

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●実験内容
りんごの褐変反応は酵素による反応であるが、この反応が促進される要因、阻害される要因を学ぶ。

●実験項目
りんご果汁を次の条件下におくことにより、どのように色が変化していくかを観察した。
A:りんご果汁を室温で30分放置後の色を観察
B:リンゴ果汁を沸騰浴で40分加熱後、氷水で急速冷却し30分放置。開始時、沸騰直後、30放置後の色を観察
C:りんご果汁のみ、D:りんご果汁に塩化ナトリウム水溶液添加、E:りんご果汁にL-アスコルビン酸添加
これらCDEを37℃のウォーターバスにつけ、開始時から10分おきに30分後まで観察

●レポート作成のポイント
まず、そもそもどういう何が何の酵素でどういう物質になって褐変するかを再度確認する。
そのうえで、りんご果汁が褐変しなかった条件の場合、どのような条件が反応のどこにあるいは何に作用して褐変しなかったのかを調べて考察する。

食品学実験(8)食品の有機酸酸度

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●実験内容
食品に含まれている有機酸を中和反応を用いて定量する。

●実験項目
試料として、食用酢(穀物酢)、牛乳、ヨーグルト、レモン果汁を用いて、それぞれの試料の有機酸量を定量した。

●中和反応を利用した有機酸の定量
中和反応であるため、酸と塩基は一定の割合で反応する。
その割合は実験書の通り。
よって、濃度及びファクターが明らかな塩基(実験では0.1mol/L水酸化ナトリウム溶液)を使用することによって、未知量の酸を求めることができる。

●レポート作成のポイント
食用酢、牛乳、ヨーグルトは酸度の基準を調べたはずです。それと実験結果と比較する。
それぞれの食品の製造方法から酸度がどう関係しているかを考えて考察する。

●その他
それぞれの食品に含まれている主な有機酸は何かは必ず覚えておくこと